フォトコンテスト2018総評

「第19回 国際鉄道模型コンベンション フォトコンテスト」

総評

多くの鉄道ファンの皆さんならよくご存じの様に我が国の鉄道は1905年9月12日に官敷鉄道として新橋~横浜間が開設されました。そしてその8年後の1913年11月28日に北海道の手宮~札幌間で鉄道輸送が始まっています。たゞこの鉄道はいわゆる蝦夷のためのものであり、また私営鉄道でした。新橋~横浜間は旅客営業で、その後関西地方も1907年以降1913年には大津~神戸間と拡がっています。北海道が旅客営業をはじめたのは1915年以降になりましたが使用された機関車は勿論、蒸気機関車でしかもアメリカ製を輸入して来たのでした。以降彼の地では蒸気機関車は鉄道に欠かせない動力車となり、そして私達鉄道ファン、とりわけ鉄道写真の主役となりつづけました。いわばメッカ的存在です。
今日はその姿は見られませんが今回改めてそのかつての雄姿を忍び多くの作品を集めることが出来ました。優れた作品が多く、また撮影された年月も中広いことや、モノクロやカラーまでと大変楽しいものでした。みなさんの蒸気機関車への憧れの思いがしっかりと伝わり久しぶりにあの日の頃を思い出し、また今日の現状をさびしく感じています。優劣つけ難い、心のこもった作品を今回皆様に観賞していただくことは有意義なことゝ思います。

宮澤 孝一 大石和太郎 名取紀之


野口 茂樹 「冬の大沼を往く」


大賞 選評

北海道からD51やC62たちの姿は消えたのはいつだったのでしょうか。でもしばらくしてC11が道東を中心にその姿を見せてくれて安堵もしたものです。そうです平成時代の北海道の蒸気機関車の主役はC11だったと云ってもよかったのでしょう。そのC11はオホーツク沿岸から次第に道南へ走行区間を延ばして来ました。この作品は冬の駒ヶ岳山麓へ姿を見せたときの画面です。全面白雪に覆われた大沼~小沼のあの狭まい区間を走る姿はファンにとっては絶好のポイントです。加えて俯瞰しての撮影は天候と周到な準備なければ思う様な好結果は生まれません。作者の狙らいは見事に結実し、あのC11がとてもメルヘンの主役になった様な優しささえ感じる描写です。望遠レンズの持つ独特の遠近感と、柔かな淡い色彩の画面は北海道の蒸気機関車が見せるもうひとつの素晴らしい魅力を私達に伝える力作と思います。

                   審査委員長 宮澤 孝一